みなさん、こんにちは

 先月は「三寒四温」を反映したというか、翌月並みの暖かさになったと思えば、爆弾低気圧が来て気温の高低が激しいひと月でした。そのような中、東日本大震災の余震と思われるような地震があり、震災後10年を迎えるに際して、気も身も引き締まる思いをしました。今月後半には1年遅れた聖火リレーも始まる予定ですが・・・一抹の不安を感じるのは私だけではないと思います。

 さて先月の中旬からCOVID-19に対してのワクチン接種が始まりました。医療関係者から接種が始まり、当院においても先月の時点で接種対象者リストを提出いたしております。医療関係者が終了すると、高齢者、次に基礎疾患を有する方、そして一般へという順に接種するスケジュールになっています。現在のところ事前情報通り、COVID-19ワクチンだからといって副反応のリスクは高いわけではなく、今まで行われているワクチンとそう大差がないようです。マスコミでは「腫れ」「痛み」などの副反応が誇張されていますが、そもそもこのワクチンはインフルエンザワクチンなどの皮下注射ではなく、子宮頚癌ワクチンのような筋肉注射で行うタイプのものです。従いまして、皮下注ワクチンよりも腫れや疼痛は出やすいのは致し方ないところがありますので、その点をあまり怖がらなくてもいいと私は考えております。

 医療従事者の接種が終わると、高齢者施設に勤務している職員も優先接種対象ですので接種になるのですが、通院中の施設勤務の妊婦さんから「ワクチン接種はどうしたらよいでしょうか?」という質問を受けました。マスコミ等で「妊婦は接種対象者からは除外することはしない」とありましたが、ボールは妊婦さんに投げて判断せよ・・・となっても、なかなかその判断は難しいのではないかと感じるところです。先月、日本産婦人科医会が発出したレポートでは、①妊産婦の中・長期的な副反応や胎児・出生時への安全性は確立されていない。②感染リスクの高い妊産婦、または重症化リスクのある基礎疾患を有する妊婦はワクチン接種を考慮する。③接種においては胎児の器官形成期である妊娠12週まで避ける。④妊婦のパートナーは家庭内感染を防ぐためワクチン接種を考慮する。⑤妊娠を希望する女性は可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。とありました。まぁ開発から接種まで極めて短期間であるため、妊婦さんや胎児への副反応や安全性まで十分確認できていないというのは当然だと思います。一方で、本邦の昨年のデータをみると、①妊婦さんだからといって感染リスクが上昇しているというわけではない(全感染者の0.4%ほどが妊婦)。②妊婦さんが感染する場は家庭内が約60%を占めている。③妊婦さんがCOVID-19に罹患したからといって重症化しているわけではない(検査陽性の約80%が無症状~軽症)し、新生児への感染も報告されていない・・・これらのデータをみますと、「妊婦さんだからワクチンをしなさい」とは言い切れないようです。ただワクチンをしないという選択をした場合、妊婦さんを取り巻く方々がしっかりワクチンをして予防することが肝要であると考えられます。

 一方でこういうデータも出ております。それは「新型コロナウイルスに感染した女性において、抗体が効率的に赤ちゃんに移行していることが示され、特に妊娠初期の感染でその傾向が強い」といことです。COVID-19に妊婦さんが自然感染した場合、抗体が胎盤を介して赤ちゃんに伝わり、ある程度の免疫がつくということです。確かにこの理論がワクチン接種に当てはまるかどうかは不明ですが、女性がワクチン接種を受けると自身はもちろん赤ちゃんにも抗体ができる「一石二鳥」になる可能性があるかもしれません。

 本邦ではまだ接種が始まったばかりですが、米国では1月末の時点で接種者のうち15,000人以上が妊娠中だったとのことです。私自身、COVID-19は従来の季節性インフルエンザと同様に、末永く?付き合っていく感染症ではないかと思っております。15,000人以上のワクチン接種をした妊婦さんのデータが解析され、より妊婦さんや赤ちゃんに安心できる情報が提供されることを願っています(2021.3.1)。


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院長のcapricciosa(気まぐれ)