みなさん、こんにちは

 先月は予報通り、例年よりも早い桜の開花となりました。天気も大荒れすることがなく、程よい?寒暖差もありましたため、気のせいか若干桜を愛でる期間が長かった感じがします。いよいよ今週末から大型連休後半に入ります。予報ではこれもまた例年より気温が上がるとのこと・・・また今年も春はあっという間に終わってしまうのでしょうか?

 今月に入ると柏餅の出番ですが、先月までは桜餅の「独壇場」でした。桜餅には白玉粉と薄力粉でツルっとした表面になる「長命寺」と道明寺粉でつくった表面がデコボコしている「道明寺」の2つがあります。大まかに「関東は長命寺、関西は道明寺」とのことですが、東北では秋田と山形が「長命寺」が主流とのことです。でも出身の北海道は「道明寺」が主流なので、どうも道明寺の方に気が向きます。でもどちらも塩漬けした桜の葉で春を感じながら戴くのに変わりはありません・・・大げさかもしれませんが日本人でよかったと思える時でもあります。

 さてそんな「日本の食」ですが、西洋式の食事と比べ健康に良いというのは漠然と理解しているところではないかと思います。恰幅の良い欧米人がダイエット目的に日本食を摂っているシーンなどはメディアでもよく目にする光景です。このように日本食は身体への好影響である報告は多々ありますが、さらに最近ではメンタルへの好影響もあることが報告されています。

 報告では、①典型的な日本人の食生活は、米、魚介類、果物(特に柑橘類)などを多く摂取している、②この食生活をさらに日本独特にしているのは、味噌、海藻、漬物、緑茶、大豆、もやし、きのこといった伝統的な食材である、③西洋食と比べ赤身肉やコーヒーの摂取量が少ないこと、の3つをあげています。そして伝統的な日本食は減量といった特定の目的がある食事ではなく、文化的な習慣であるとしています。このような伝統的な日本食と典型的な西洋食(精製炭水化物、高脂肪食品、ソフトドリンク・アルコールの多量摂取)を2年間摂取したのちに頭部MRI画像を比較しますと、日本食を摂取していた女性では西洋食を摂取していた女性に比べ、脳の萎縮度合いが少ない傾向にありました。脳の萎縮や縮小といった所見は、認知機能低下と認知症の診断の一助となることから、伝統的な日本の食生活により女性の認知機能低下を予防できる可能性が示されました。ただこの可能性は女性のみで、男性には認められてはいません。その理由として、マグネシウムといったミネラルや豆類に含まれる植物性エストロゲンに保護効果があることも考えられています。(Shu Zhang et.al. The Conversation Published: April 5, 2024.)

 以前から食習慣で認知症のリスクを低減するものとしては「地中海食」というのもあります。地中海食ではオリーブオイルをベースとして、魚介類・野菜・果物・全粒粉(非精製炭水化物)、豆・ナッツ類、ハーブ・スパイスなどが多く消費されます。食材としては日本食と重複するものが多数あり、そのため日本食同様地中海食の食習慣によっても認知症のリスク低減とともに寿命の延伸が期待できる可能性を含んでいます。
 
 
では逆に食習慣がメンタルにネガティブな影響を与えることがあるのでしょうか?認知症の原因疾患の一つであるアルツハイマー病では神経伝達物質のアセチルコリンによるシグナル伝達レベルが低下する傾向があります。ラットによる研究では高脂肪で砂糖の多い、いわゆる「ジャンクフード」を投与した群では記憶力テストの低下を認め、アセチルコリンレベルの乱れの兆候を認めたとのことでした。以上から特に脳が著しく発達する思春期に、ジャンクフードを摂取することは記憶障害といった脳の長期的なダメージを与える可能性があるとしています。(Anna MR Hayes et al. Brain, Behavior, and Immunity Volume 118, May 2024, Pages 408-422)

 今回の本稿は「食とメンタルケア」 についてお話ししましたが、産婦人科における食の重要性は2019.8月の本稿で「プレコンシャス・ケア」についてお話ししましたように、母体のやせは低体重児の出生につながり、将来的に子供の生活習慣病のリスクにもつながります。大型連休中はどうしても外食が中心になりがちですが、今一度「医食同源」の大切さをご理解いただきたいところです(2024.5.1)。




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院長のcapricciosa(気まぐれ)