みなさん、こんにちは。

早いもので、今年も「あと何日・・・」と数えられるくらいになりました。旧暦で言うと今月は「師走」ですね。12月は年末で忙しく、普段は走らないお師匠さん(ある説では法師 - お坊さん)でさえも走るというところからきているようです。医「師」である私といえば外は雪のため走ってはおりませんが、1日から早速せっせと除雪作業に勤しんでおります。皆様のところはいかがでしょうか?

 さて前回は「冷え性」について、その背景とアプローチについてお話しました。今回は「実践編」ということで、もう少し深く掘り下げていきましょう。

 東洋医学的な冷え性の原因を、時節柄ストーブにたとえてお話していきましょう。せっかくストーブをつけているのに、温まらない理由を「冷え」とオーバーラップさせて考えてみましょう。

1. ストーブが小さい(陽気不足):部屋の割りに「ストーブ=火」が小さいと温まりませんよね。この「火」に当たるのを東洋医学では「陽」といい、こういう身体を温めるエネルギーが足りないと冷えの元になります。このような方は色白で弱々しい印象であったり、疲れやすいなどの特徴があります。

2. 燃料が足りない(血虚・淤血):これは火をおこす燃料が足りないために火が小さくなることです。ちょうど貧血のような状態で顔色も悪くなり、体もやせてきたりします。またテレビ番組でよく言われる「血液ドロドロ現象」は東洋医学的には淤血に似ている状態といわれています。血液がドロドロになると、栄養の供給がうまくいかなくなって燃料が不足するのと同じ状態になります。

3. 燃料が水っぽい(水毒):こんな状態ではうまく温まりませんよね。身体に余分な水分が貯まっている「水太り」の方にこのような傾向が目立ちます。舌が白っぽい(舌苔が多い)、顔や手足がむくみやすい特徴があります。

 ちょっとした言葉の違いですが、「冷え性」というと上でいう「陽気不足」や「血虚」のように色白で「なよなよ」とした体力に乏しい体質の人に多く見られる傾向があります。一方、「冷え」は「淤血」のように血の巡りがよくないことが原因で起こります。さらに下半身は冷えているのに、顔や上半身は逆に火照ったりのぼせたり、時に急に汗をかいたりしてしまうことがあります。この状態を「気逆」といい、血や気の流れが悪くなることで生じます。こうなると一概に体質や体型では割り切れないところがあり、現代女性の過半数が「冷え(冷え性も含む)」で悩んでいることが十分理解できることと思います。

 「日に日にどんどん寒くなっているにのに、それじゃあどうしたらいいの?」・・・そんな声がたくさん聞こえてきそうです。でもどうやら治療を含めた「対策編」は年を越え新年になりそうです。忘年会・クリスマスもまだですが、今年のカプリチョーザはこれが最後になります。今年一年、ご愛読ありがとうございました。よいお年をお迎えください(2006.12.4)。


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 ・・・寒くなってまいりました。

 鹿角八幡平ICの近くにある温度計では、夜間には氷点下を示す日も出てきました。明け方には霜もおりています。クリニックでもタイマーで暖房の準備をしないといけなくなりました。長期予報では今年は比較的降雪量が少ないとのことですが、着実に季節は冬に向かっています。皆さんのところではいかがでしょうか?

 さて気温が低くなると寒くなるのは当然のことなのですが、女性の多く・・・ある調査では半数以上に「冷え」で悩んでいるといわれています。人より一枚多めに衣類を羽織る方が、この時期になると手足が今まで水につけていたぐらい「しゃっこい(共通語で冷たい)」状態になる方がおります。これを読まれている皆様の中にも、そのような方がいらっしゃるのでしょうか?

 女性に冷え性が多い理由のひとつとして、女性の体型そのものにも原因があるといわれています。女性らしさを表現する身体のラインは脂肪組織がなしているように、元来女性の身体は男性と比較して筋肉に比べ脂肪組織の割合が多い構成になっています。脂肪そのものは日常生活のエネルギーになりうるものですが、脂肪それだけでは熱を産生することはなく、熱は筋肉で産生されています。そのため平熱を比較しても男性に比べ女性のほうが0.30.5度くらい低いといわれています。また以前このカプリチョーザでお話した女性ホルモンのバランスも関与しているといわれています。卵巣および脳下垂体から出るそれぞれ2種のホルモン、計4種のホルモンが交絡して女性のリズムを作り出しているのですが、そのリズムが崩れると自律神経系の働きが乱れて、末梢血管の血行トラブルを引き起こすともいわれています。思春期や更年期といった女性ホルモンの分泌の不安定な時期に冷え性になられる方が多いのもうなずけることと思います。

「冷え性」というのは我々が日頃実践している西洋医学にはない概念でありますので、冷え性の特効薬というのは西洋薬にはありません。先に述べた自律神経系のトラブルと考え、自律神経失調症として治療したり、背景に低血圧や貧血があると、それぞれの疾患に対応した治療となります。

冷え性のある方というのはそれだけでおさまらず、便秘や腰痛、不眠といったいろいろな悩みを同時に抱えている方が多い傾向があります。西洋医学的に対応すると、それらの症状すべてにお薬を処方するということになって、服薬量がかさんでしまうという結果になりかねません。そのため冷え性に対して私達は「冷え」という概念を持っている東洋医学的なアプローチを症例によっては行っております。

東洋医学では身体の「陽」と「陰」のバランスが崩れることによって病気が生じると考えられています。冷え性も同じで、身体に「冷え」(東洋医学では「寒邪」と言います)が入り込んだ結果、その不調を知らせるために「冷え性」という形で発症すると考えています。

それでは・・・ といったところで、今回は冷え性の「さわり」で結構な長さになってしまいました。HP開設以来初の「一話完結にならないカプリチョーザ」になりました。続きは次回に・・・(2006.11.8


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 振り返ると早いですねぇ ・・・ 今年も4分の3が終わってしまいました。

いつの間にか空を見上げても、高い高い青空になっています。自室から見渡す景色も稲刈りが終わり、チャ―コール・カラーの絨毯のようになってしまいました。そんな秋に、皆さんいかがお過ごしですか?

さて10月は「神無月」ともいいますね。今月は出雲の国(島根県で)神様の会議があって。そのために全国から神様がいなくなるとのことで「神無月」というそうです。一方出雲では「神在月」と言うとか・・・日本人の感性というのは、おもしろいですね。神様が留守になる一方、寒くなると忍び寄る厄介なものがあります・・・そう、インフルエンザです。

トップページにもありますが、この時期になると当院でも毎年恒例のインフルエンザの予防注射が始まります。産婦人科ですので、妊婦さんへの予防注射の可否をよく問われます。妊婦さんの予防接種については、主治医の先生とよく相談していただきたいのですが、以下私が主治医で診ている妊婦さんに問われた時の対応について書かせていただきますと・・・

結 論 : 妊婦さんへの予防接種を私は薦めております。

その理由として・・・

1.       インフルエンザワクチンは不活化ワクチンというタイプで、胎児に悪影響を及ぼすとは考えられていないこと。

2.       妊娠14週以降の妊婦さんがインフルエンザにかかると余病(合併症)を併発しやすく、入院になるリスクが高いこと。

3.       タミフルなどインフルエンザについての効果的な薬剤が登場しているとはいえ、妊娠中の服薬はしないに越したことはないこと。

4.       妊娠後期でインフルエンザになると、胎盤を経由して赤ちゃんに感染が起こりうる(経胎盤感染)という報告があること。     などなどです。

 一方、妊娠4ヶ月未満であると自然流産が起こりやすい時期なので、この時期の妊婦さんの予防注射は控えたほうがいいとする意見もあります。でもご存知かと思いますが、ワクチンを接種してもすぐ予防効果をあらわすわけではなく、接種2週以降から効果を発揮しはじめます。接種することを控えて安心した時期にワクチン接種を予定していても、もしかするとそのときにはインフルエンザにかかっているかもしれません。米国のインフルエンザワクチン接種勧奨対象者には「インフルエンザ流行期に妊娠している女性」とあり、特に妊娠週数についてのコメントはありません。繰り返しになりますが皆さんもワクチン接種については十分主治医の先生と相談して行ってください。
 なお先の話になるかもしれませんが、おっぱいをあげている授乳婦さんのワクチン接種についてはどうでしょうか?お母さんがインフルエンザになると赤ちゃんにうつってしまう場合もありますので、やはり予防接種を行うことを私としてはお薦めします。しかしながらワクチンの成分が母乳に出るのはほんの微量であるため、お母さんがワクチンをしたからといって赤ちゃんへの予防効果はありませんので、その点はご承知おきください。(2006.10.4

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みなさん、こんにちは

 「暑いですねぇ・・・」って言う挨拶が、いつの間にか耳にしなくなりましたね。代わって秋の虫の音色が聞こえてきました。夜も眠りやすくなって、肌がけでは寒いくらいで、いよいよ布団の出番となって来ました。皆さんのところではいかがですか?

さて今月は「ガン征圧月間」です。私の子供のころ、21世紀に初頭には人類がガンを征圧するような予測が立てられていたように記憶しています。しかし征圧するどころか、昭和56年以降ガンの死亡順位は第一位のままです。平成17年の全死亡者に占める割合は30.1%・・・我が国の全死亡者のおよそ3人に一人はガン(悪性新生物)で死亡したことになります。まだまだガンを征圧するには「道、未だ遠い」状況です。

そんななか、先日フラッシュニュースで「アメリカで子宮頚癌ワクチンが認可される」というニュースがありました。まるでインフルエンザのようにガンが予防できたら、どれほどの救いになるかわかりません(なお対象年齢は9歳から26歳までで、価格は360ドル程度とのことです)。ガンがワクチンで予防できるというのは、どういうことでしょう?

お産のときに「子宮の出口が5cm開いた」とかいいますよね。この「子宮の出口」を子宮頸部といい、そこにできるガンが子宮頚癌です。子宮頚癌の原因のほぼ100%にHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス:パピローマとは「いぼ」のことです)というウイルスが関与しています。「ガンの原因にほぼ100%関与している」とお話しすると、さぞ不安になられるでしょうが、このウイルスは非常にありふれたウイルスで、その感染もいわば「かぜ」みたいに非常にありふれたものです。報告によると一般女性の60%以上はHPV感染歴を有していますし、またHPV感染の9割以上は自然消失してしまうものなのです。しかしながらHPVに長い間(一般には5年以上)持続的に感染した場合は、子宮頚癌に進行するリスクがあります。いわば子宮頚癌はHPVという非常にありふれたウイルスによるまれな合併症といえましょう。

従ってワクチンの目的は進入してきたHPVを長く居させず退治するのが目的です。でも9割以上が自然消失するならワクチンなんていらないのでは?と思われるかもしれません。しかしこの性的活動性が高い現在、性交渉の機会が多ければ多いほど、持続感染の期間が長くなると考えられ、それに伴い子宮頚癌発症のリスクも上昇するといえましょう。

日本ではまだこのワクチンの認可はおりていません。さらに日本での子宮頚癌検診の受診率は22%前後と決して高いレベルにはありません(ちなみに米国・英国では80%以上の受診率です)。このような状況を踏まえて、今年度から自治体の子宮癌検診の対象年齢は20歳まで引き下げられました。ガン予防のため積極的に検診を受診していただきたいのはもちろんですが、ワクチンによる予防に頼らず、家庭教育による予防をもっと大切にしていきたいものです。(2006.9.6

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・・・お暑うざいます

暦上は立秋を過ぎましたので「秋」なのですが、とてもとても秋とは言えない気温の日々が続いています。梅雨明けまでは冷夏で、今年の夏はどうなるのだろうと思っていましたが、毎日暑い日々が続いています。暑くて暑くて・・・イライラしてくるくらい暑いですね。

イライラを解消するものとして、たばこは有名ですよね。でもたばこを吸われる方は、吸えないことがかえってイライラの種になりかねません。私も10年以上前までは喫煙者でしたが、その時に比べて喫煙者にとっては非常に「肩身の狭い」状況になりました。

最近のニュースに「たばこ1本分の煙に、1日の摂取基準を約200倍上回るダイオキシンに相当する物質が含まれる」とという報告がありました。ダイオキシンというのは塩素を主とした元素が熱せられる行程でできる化学物質で、人工物質としては最も強い毒性を有します。あくまでも動物実験レベルの話ですが、発癌性や胎児への奇形性も報告されています。

妊娠中の喫煙に関しては、これもまた「百害あって一利なし」です。

1. たばこを吸っていると流産や早産が起こりやすくなります。

たばこを吸っている妊婦さんは、吸わない妊婦さんより1.5倍くらい流産や早産しやすくなり、これは吸う本数が増えるほどリスクが上がっていきます

2. たばこを吸っていると小さい赤ちゃんが産まれやすくなります。

たばこを吸っている妊婦さんから産まれた子供の出生時の体重は、吸わない妊婦さんの子どもに比べて平均200g程軽く、また低出生体重児(生まれたときの体重が2500g以下)が生まれる頻度が約2倍ほど高くなります。これはたばこの煙に含まれるニコチンが血管の収縮をもたらすのに加え、一酸化炭素が胎児胎盤系の低酸素状態を作り出すためと考えられています。

これらのリスクを回避するには禁煙するしかありません。妊娠3~4ヶ月まで禁煙すると、低出生体重児になるリスクが軽減されると報告されています。一方、喫煙を継続して妊娠中は特にリスクがなく経過していても、喫煙しているお母さんより生れた子には原因不明の突然死(乳幼児突然死症候群:SIDS)の発症が多く見られるとの報告があります。

妊婦さんは禁煙するのはもちろんですが、先のダイオキシンの項で申しましたように、煙にも有害物質は多く含まれていますので、周囲の方が吸っている煙を吸う「受動喫煙」も避けなければいけません。そのため妊娠がわかったら妊婦さんだけでなく、お父さんも周りの人も禁煙して赤ちゃんに優しい環境をつくって下さい。

日頃外来におりますと、自然と喫煙している方を伺わなくとも分かるようになってきました。一番は「肌」に出ますね・・・もちろん良い意味ではありません。たばこの価格も上がってまいりました。健康はもちろん美容の意味でも、喫煙なさっている方は改めて禁煙をお考えになられてはいかがでしょうか?(2006.8.10


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数日前の大雨は秋田市を初めとした中央部で冠水・浸水などの被害をもたらすものでした。同じ秋田県でもここ鹿角は、そこまでの雨の被害を被る事はありませんでしたが、被害にあわれた皆様には心よりお見舞い申し上げます。

未だ当地の梅雨は明けそうにもありません。梅雨というのも難しいものでして、雨量が多いと今回のように災害となってしまいますし、少なければ少ないで農作物の発育に支障をきたしてしまいます。何事にも「バランス」というのが大切ですね。

外来でお話を聞いていますと、「ホルモンのバランスが・・・」というフレーズをよく耳にします。「ホルモンのバランス」・・・何と意味深なフレーズでしょう。この一言で、患者さん(当クリニックでは「患者様」ではなく「患者さん」とお呼びしています。このことについてはいろいろな考えもあるでしょうが・・・またの機会にでもお話したいと思います)は自分の悩みや訴えをまとめることができますし、私達治療者側にも、なんとはなく説明しうる一言のようになっています。じゃあこの「ホルモンのバランス」とはいったい何なのでしょう?患者さんから質問された場合、私としては以下の3点をお話しています。

1.女性ホルモンの「バランス」

女性ホルモンの要は卵巣から出る卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)です。このホルモンが織物の縦糸・横糸よろしく組み合わさって月経を主とした性周期を形成します。でもこの2つのホルモンは更に、脳下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)からコントロールを受けています。この卵巣・視床下部という2臓器×2種類のホルモンのバランスが取れないと、月経不順などの諸症状を招いてしまいます。

2.女性ホルモンの流れを邪魔するホルモンとの「バランス」

たとえばお産後で母乳をあげている間は月経が来にくい状態になっています。これは母乳分泌を促すホルモンが血中で高い値をとっているためです。また代謝を司る甲状腺という臓器から出るホルモンのバランスが崩れると、これも月経不順の原因になりかねません。月経というのは体内から失血するという現象ですので、代謝バランスが崩れていると、無駄な失血を防ぐ(=月経不順)という「ストッパー」が自然に働くことは想像できるのではないかと思います。

3.異性ホルモンとの「バランス」

男性にも微量な女性の、また女性にも微量な男性ホルモンが身体の中に流れています。これも度を越すと月経不順や無月経の原因になったり、ともするとにきびや多毛といった美容面からも好まざる状況を招いてしまいます。

女性のすべての問題を「ホルモンのバランス」で纏め上げて解決することはできませんが、「ホルモンのバランス」を整えることで解決できる問題も少なからずあります。日に日に見る見る見違える(@v@)♪・・・とまではいきませんが、内分泌環境を整えることで解消できることもありますので、かかりつけの産婦人科の先生にご相談されてみてはいかがでしょう。(2006.7.5

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やっと6月らしい青空が見られる日が続いてきたなと思っていたら、東北南部は入梅というニュースが入ってきました。またしばらくじめじめした日が続くと思うと、憂鬱にもなってきますが・・皆様はお変わりありませんか?

トリノ・オリンピック、ワールドベースボール・クラッシックに続き、いよいよサッカーのワールドカップが開幕しました。サムライ・ブルーの日本イレブンも予選から強豪ぞろいで苦戦が予想されますが、善戦してもらいたいものです。時差の関係で試合の放送は夜間が多いため、応援に入れ込んでしまうと寝不足の日が続くことになりそうです。自ら夜更かししての寝不足であれば仕方ないのですが、中には眠りの深いところに何回も小用で起こされて慢性的に寝不足の方もいるのではないでしょうか?

突然、排尿の話になってしまいましたが、どうしても男性に比べて女性は尿漏れなどの「おしっこのトラブル」が多いようです。おしっこのたまる膀胱とその出口の尿道口の間の管(=尿道)が男性に比べ女性が短いという、からだの構造上の相違もあるのに加え、妊娠・分娩といった女性特有の肉体的なストレスもあります。これらの影響のもと膀胱の支えている靭帯が加齢により変化して、膀胱が不安定な状態になりますと、「くしゃみ」をしたり、「大笑い」をしたり、「縄跳び」したりすると「尿もれ」という現象が起きます。これを「腹圧性尿失禁」といい、女性に多い尿もれのパターンです。腹圧性尿失禁の場合、たいていは尿意(おしっこがしたいという気持ち)を催しても、トイレまで間に合わないということはないのですが、中には尿意を催したらトイレに間に合わずもらしてしまう、「切迫尿失禁」(いわゆる「ドアノブ尿失禁」)という尿失禁のタイプもあります。

また中には「必ずしも漏れるわけではないが、急におしっこに行きたくなったら我慢できない!」という方もおりまして、このような「尿意切迫感」を主症状とする病態を「過活動膀胱」といいます。「過活動膀胱」は2001年に定義された新しい病名で、尿意切迫感・切迫性尿失禁・頻尿(尿が近い)などの症状を有する病態で、日本では40歳以上の8人に一人はどうもこの過活動膀胱にあるようです。しかしながら実際にこの状態で病院に通院している方は3人に一人ぐらいとのことです。

腹圧性・切迫性尿失禁の薬物療法は従来から行われておりますが、近頃この「過活動膀胱」に効果的な薬剤も登場してきました。尿の回数は一日8回、特に夜間は1回までが正常回数とのことです。「過活動膀胱」に必ずしも頻尿は伴いませんが、夜間に2回以上も排尿に起きなければならないという方は、一度ご相談されたほうがよろしいかもしれません。(2006.6.10

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4月は夜ともなると一桁台の気温で、桜前線もいつくるのやら・・・とやきもきしながら本格的な春到来を待っていましたが、ゴールデンウィークに入ってからはここ鹿角も一気に桜満開となりました。花見にはもってこいの連休になりましたが、連休が終わった今、クリニック近くの桜並木の桜が葉桜になりたくないのか元気がないように咲き続けています。

さて今年のゴールデンウィークは最長9連休も取れた方もいるくらい、休日がうまく「固まった」連休でした。皆さんはどこかへお出かけになられましたか?連休だと旅行に出かけられた方も多いと思います。ここ鹿角は北に大湯温泉郷、南に湯瀬温泉郷があり、その2つの温泉郷にはさまれて大小数々の温泉があり、市内のどこを掘っても温泉が出てくるのではないかと思えるほどの県内でも屈指の「温泉どころ」です(でも勝手に掘ってはいけません)。こんな温泉どころですので、妊婦さんには「温泉に入ってもいいのでしょうか」と尋ねられる事がたびたびあります。温泉に行くと、大抵脱衣所にその温泉の泉質とともに効能や禁忌症などが掲示されていますが、この掲示は温泉法という法律で義務付けされています。またそこに記載されている入浴の禁忌症というのは日本療養泉規定というのに定められていて、その禁忌症の一つに「妊娠中(特に初期と末期)」とあります。でも実のところどうなんでしょう?

 医学的に適度な入浴は新陳代謝を促し、ストレスを和らげ、また若干の血圧下降といった効用があります。では「医学的に適度な入浴」とはどのようなものかといいますと・・・                            
 1. 適当な温度 
 42℃以上の高温または30℃以下の低温では、かえって自律神経系が刺激されて血圧が上昇してしまう可能性があります。適温の温泉でも冬場の露天風呂など外気温との温度差が著しいものも好ましくありません。   
 2. 適当な入浴時間  
 4041℃の温泉に10分間入浴すると、深部体温が38℃を超える可能性があります。このラインを超えると胎盤血液の循環異常を起こす危険性があると言われています。                             
 3. 適当な入浴回数                                 
 頻繁に入浴しても、かえって疲れてしまったり「湯あたり」してしまいます。多くても12回ぐらいが限度でしょう。                      
 湯あたりと関連しますが、妊娠による体調の変化で、妊娠前と同じように入浴していても「湯あたり」する場合もあります。妊婦さんの単独入浴だとこのようなトラブルへの対処が遅れてしまい注意が必要です。温泉には一人では入らず、必ず家族・友人同伴の上入浴されて下さい。

 日本人ほど温泉が好きな民族はいませんし、赤ちゃんもいわば生まれるまで羊水という「温泉」に入っているようなものです。おなかの中の赤ちゃんと同じようにたまには広い湯船の中でゆったりするのもいいかもしれません・・・でもくれぐれも「熱風呂」や「長湯」には気をつけてくださいね。 (2006.5.10 


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 4月も三分の一が過ぎようとしているのに、今朝は草地に積もるくらいの降雪がありました。入学式や入社式もすでに終えられているところも多いのに、降る時期が定まらない「なごり雪」のため、春の訪れがすっかり足踏みしまっている今日この頃です。気候の変動の激しいなか、皆さん体調など崩していませんか?
 さてトリノ・オリンピックも終わり、3月のスポーツといえば野球が賑わっていました。王ジャパンのワールドベースボールクラッシックの優勝、選抜高校野球では秋田商がベスト8進出、そしてプロ野球の開幕・・・とサッカー・ワールドカップが始まるまでは、野球が優勢を占めそうな感じです。今でこそサッカーやバスケットなどスポーツの選択の幅は広がりましたが、私が子供のころは野球がNO.1でありまして、上手下手に関わらずキャッチボールをすることはその当時の男の子にとって「たしなみ」みたいなものでした。スポ根(スポーツ根性)漫画よろしく連日猛練習に耐え、勝利を目指し先輩後輩一丸となって頑張っていたものでした。非常に苦しんだ上仲間とともに掴み取った世界一は、あのクールといわれているイチローに「野球をやってきて、これだけチームメートと同じ気持ちになり、ひとつの目標に進んだことがなかった。本当にいい仲間に巡り会えた。」と言わせるくらい最高の喜びだったのでしょう。
 目標こそ違いますが、私達医者も「医局」というチームに属して、勝利(患者さんの健康)を目指し、連日猛練習をして(研鑽を積んで?)いるものです。特に産科は昼夜関係なく、正常な経過でも突然異常事態が生じますので、それに対するにはチームを組んで責務を分担するよう十分なマンパワーで対抗するしかありません。「産科は確かに忙しい。でもそのなかで多くの医者でいろいろディスカッションしながら難症例に向かって新しい生命を迎えることが産科の楽しみでもあるんだ。」・・・かつて私の師はこのように話してくれたことがありました。産科ほどマンパワーの多少が結果に大きな影響を及ぼす診療科はないと私は思っています。しかし秋田県はもちろん全国のいたるところの病院でチームが組めないほど産科医療のマンパワーが低下しています。他県でもお産を取りやめる病院は後を絶ちませんし、ある自治体病院では希望者全員の分娩は取り扱えないことから「分娩は抽選制」にしたところまであります。こういう現状を見ると、もしかすると少子化のスピードを上回っているかもしれません。
 私の大学時代の同級生で産婦人科医になったのは8人で、うち4人が県内に残りました。しかし新臨床研修が終わって今年度東北地方で産婦人科に進んだのは8人だそうです。医師を供給する「医局」にも人員がなく分娩を集約化する他とりあえずの手立てはない現状です。今までどおりの「安全なお産」ができるためにどうすればよいのか?・・・皆様方もどうか一緒に考えていただきたいと切に思っています。2006.4.8

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 シーズン前半の大雪はどこへ行ったやら・・・当院の駐車場もすっかりアスファルトがみえてしまって、植え込みの樹木も心持ち青さが出てきたようにも見えます・・・と書き出しを書いて運筆を止めていたら、ここ数日の大雪でまた振り出しに戻った景色になってしまいました。しかし今日は寒波も緩み路面も乾いて、また一歩春の足音が聞こえてきたそうな気がしました。皆さんいかがお過ごしでしたか?私はこの一ヶ月の間に自身にとってとてもショックな事件がありました。
 それは同じ東北の福島県で、帝王切開術後に亡くなられた母体死亡の事例において刑事事件として産婦人科の医師が逮捕されたことです。お産にまつわるトラブルで裁判になったケースは皆さんも耳にしたことはあると思います。でもそれはあくまで損害賠償を請求するような民事事件であって警察が介入するものではありませんでした。事件に関係したことはいまもなお進行中でありますので詳述は避け、ここでは私がいくつか感じたことを綴っていきたいと思います。
 妊婦さんが亡くなることを「妊産婦死亡」といいます。「お産は病気じゃない」という考えが根強くありますので、妊娠やお産が原因で亡くなられるということが身近なものに感じにくいかもしれません。我が国の2000年の妊産婦死亡率は10万分娩に対して6.3という値でした。交通事故で亡くなる方が、総人口1億2000万人に対し年間9000千人近くですので、妊産婦死亡率に近い数といえましょう。「万が一」という言葉がありますが、妊娠・お産や交通事故で亡くなる確率は「万が一」位です。しかし1950年の妊産婦死亡率は10万分娩に対して176と現在の30倍でしたので、終戦間もないころは100人のお母さんのうち1人以上の割合で妊娠・お産を理由に亡くなっていたことになります。この50年で分娩の安全性は著しく向上しています。でも向上しているとはいえ医療の進歩でかすみがちですが、今も昔もお産は「命がけ」なのです。
 「なぜ産科はトラブルが多いのですか?」と聞かれることがあります。その理由のひとつとして、他科と異なり「2つの生命」と対峙する診療科ですので、リスクもより抱えることが想像できると思います。生物界では種を維持していく代償として命を失う事象は多く認めます。鮭は生まれた川を遡上して産卵を終えると息絶え、またカマキリは交尾が終わると雄は雌のえさになってしまいます。人間だからといって医療の恩恵を受けても「自然界の呪縛」から完全には逃れることはできないのです。「自然分娩」というのはあくまでも「結果」であって、そこに至るまでは思いがけないトラブルが生じる恐れもあるのです。今回の事件を「余計な心配をさせないで・・・」と耳をふさいで事実と向き合わないのではなく、いろいろな産科疾患のリスクについて事前に説明を受け、きちんと理解しておくことは非常に重要なことだと私は思っています。
 一つの命の誕生を迎えるまで、妊婦さんの身体には色々な変化がおこります。嬉しい変化であることもあれば、心配な変化も起こり得ます。大昔から「おかあさん」は、このような変化を受け入れながら現代まで命の糸を紡いできたのです。 みなさんのおばあちゃんや、ひいおばあちゃんの時代に比較して、産科の技術は進歩してきました。でも産む女性に変わりはないので、リスクとなる「落とし穴」が全くなくなることはありません。「順調な妊娠経過を過ごしていただき、無事にお産していただくにはどうすればよいか」・・・そういうことを産婦人科医は一人一人の妊娠を診ながら考えている・・・といことを知っていただければ・・・というのが一産婦人科医の願いです。
 最後になりましたが、亡くなられた患者様のご冥福を心よりお祈りいたします。    (2006.3.15
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 今シーズンの大雪はワースト3に入るほどの人的被害をもたらしました。しかし2月にだけ限ってみると、今のところ昨シーズンの2月程の降雪量ではなさそうです(あくまでも当院の除雪重機の出動回数からの感想です)。当地では第55回全国高等学校スキー大会も盛会のまま終えることが出来ました。連日の雪かきで大変だったとは思いますが、この大雪も盛会の一役を担ったのではないでしょうか?
 さて大会と言えば、テレビではトリノ・オリンピック一色の毎日です。大会も3分の1が過ぎましたが、日本勢の健闘がなかなか成績に結びつかず、オリンピックという大舞台で優れた成績を残す難しさを再認識させられます。どの選手も秀でた技能がある実力者ばかりなのですが簡単には結実しない・・・それがオリンピックなのでしょう。実力があっても試合当日の体調が不良であれば、それが十分発揮できないことは容易に想像できます。
 みなさんは「ドーピング」という言葉を聞いたことがありませんか?ドーピングとはスポーツ選手が薬物などの不正な手段により競技成績を上げようとする行為をいいます。ドーピングの対象となる禁止薬物には男性ホルモンなどの筋肉増強薬(文字通り筋肉をつけるのを促す薬剤)、覚醒剤などの興奮薬(気持ちを高揚させるのを目的にします)、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬(痛みや疲れを軽減させます)、そして利尿剤(尿を多く出させて競技前に体重を落とさせます)などがあります。競技能力を高めるために意図的に服用するのは論外ですが、病気になったとき服用した薬がドーピングリストにある場合が問題であり、そしてそれらの薬は必ずしも病院から処方される薬であるとは限らないことです。たとえば「葛根湯」という風邪に効く漢方薬を耳にしたことはありませんか?この葛根湯には「麻黄」という生薬が含まれておりますが、この麻黄がドーピングリストにあるエフェドリンという成分を含んでいるため、服用するとドーピング検査で陽性に出てしまいます。実際過去に葛根湯を服用してドピング検査が陽性となり、失格になった日本人選手もおります。またある種の高血圧(ループ系薬剤)の薬や喘息の薬(β2作動薬)も持病だからと言ってなにげに服用していますと、ドピング検査が陽性になってしまいます。
 試合前に病気にでもなると、試合直前の「あせり」と心の中で戦いながら、使用できる限られた薬剤で自然治癒を待機するしかないと思います。それだからこそ体調管理には気を配っても配りすぎることはないことでしょう。それでなくとも冬季オリンピック・・・ちょっとしたきっかけで風邪など簡単にひいてしまいます。努力の積み重ねで得られた卓越した技術と健全な肉体、それと強靭な精神力がなければ、トップ・アスリートとは言えないのかも知れませんね。             (2006.2.18                                   

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遅れましたが、みなさん明けましておめでとうございます。

 「カプリチョーザ」とはイタリア語で「気まぐれ」という意味です。よくイタリア料理店で日替わりのパスタやピザを「カプリチョーザ」といっておりますが、いわばシェフの気まぐれ→お勧め料理と言えましょう。

私はイタリア料理が特に好きというわけではありませんが、このコラムが必ずしも毎月更新され・・・ないかも知れませんので、「院長の気まぐれ」という意味でこのように名付けました。Webで検索すると身体や病気のことはいろいろと知ることができますので、このコラムでは病気だけではなく、肩肘張らないお話をしていきたいと思います。

 さて、早いもので当クリニックも2 回目のお正月を迎えました。開院から1年半が経過しましたが、クリニックを開設するにあたり私が基本的なコンセプトとしたのは「病院くさくない病院」にしたいと言うことでした。それは何もカタカナ名称にするとか、クリニックのシンボルカラーであるピンクに統一するとかということではありません。本当に「臭い(におい)」の「臭い(くさい)」です。
 よく病院に行くと、独特の臭いがあると思います。消毒液の臭い・湿布の臭い・薬の臭い・・・などなど、待合いでの時間が長くなると衣服にまで染み付いて、話さなくとも病院に行って来たのが分かるくらいになったというような経験はありませんか?「匂い嗅覚」というのは人間の五感の一つですから、視覚や触覚などに並ぶくらい大切な感覚です。匂い一つでさわやかになったり、不快になったことなど誰しも覚えがあると思います。当クリニックでは使用する消毒薬はなるべく臭いのしないもの、また処方する湿布も刺激臭のないものを意識して選択しております。香りを引くことはできないけど、不快な臭いを足さないでお戻り頂く・・・そのような想いで対応しております

ただこのような想いと相反しているとは思いますが、待合を中心に当院ではほのかにではありますが「香」を焚いております。先に述べましたが嗅覚は五感の一つですので、情動に訴えかける働きがあり、心身医学にも香を治療に用いた「聞香療法」というものもあります(香りは「嗅ぐ」ものではなく「聞く」ものなんですね)。お邪魔になるくらいの強い焚き方はしておりませんので、待合でのひと時を香を聞いてお過ごしいただければと思っております。                         (2006.1.9


院長のcapricciosa(気まぐれ)