・・・ 早いもので、2009年も師走を迎えました。

昨年は11月下旬に除雪車が入るような積雪があったのですが、今年は日中に10度を越える日々が続いています。こんな陽気が続くと、せっかく履いたスタッドレス・タイヤがもったいないなぁ〜 って思うのは私だけではないと思うのですが・・・皆様のところではいかがでしょうか?

さて今もなお新型インフルエンザの流行は続いており、やや勢力が衰えたとはいえ、学級閉鎖もまだここかしこでなされております。お子さんへの予防接種も前倒しの方向にはなっておりますが、先月上旬に妊婦さん用に発注した予防注射も入荷が遅れている状況です。予約された妊婦さんには、ご心配をおかけして心苦しく思っております。マスメディアもワクチン供給の停滞を報道しておりますが、それをかすませるようなホットなニュースで最近持ちきりのようです。

それは「行政刷新会議ワーキングチーム」による「事業仕分け」です。ここで説明するまでもなく、会議はすべて公開されており、netでも中継されていました。残念ながら?仕事中のためリアルタイムで傍聴することは出来ませんでしたが、ニュースで見る限り、「仕分け人」という人々がバッサバッサと「無駄」を削っていく ・・・ まるで時代劇の1シーンを観るがごとく、痛快な印象を与えています。なかなか進行中の「仕分けの波」にうまく乗れなかったため、時間をおいて私自身が関連する事業項目をみて見ますと、「 ・・・ 」と思ってしまいました。

「健康増進対策費(女性の健康支援対策事業委託費)」 → 廃止

今年8月の本稿でお話した「検診クーポン券」に関する予算です。現在子宮頚がん検診の受診率が20%程度のため、受診率向上を目指して2025303540歳の方に子宮頚がん検診を無料で受けることが出来る「クーポン券」を出しましたが、この事業は廃止されるため単年度で終わる予想です。従いまして今年度クーポン券を戴くことができなかった方々は、不公平と思われるかもしれませんが、この事業の恩恵にあずかることは出来ないことになるでしょう。仕分け人からは「検診事業は各自治体に任せれば十分」という意見もあったとのことですが、平成10年度からがん検診事業に関する費用が「一般財源化」といって、検診に特化せず他の事業経費と込みで地方に配分されるようになり、現在はまさにがん検診は自治体主体となっております。しかし不思議なもので、一般財源化になってから各自治体の検診受診率が伸び悩みになっているようです。検診受診の掘り起こしが目的のクーポン券でしたが、その効果もわからないまま廃止となるようです。

「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」 → 50%削減

振り返って政権与党のマニフェストなるものを見ますと、結構「羽振りのいい」ことが掲載されておりましたが、仕分けではこのような結果になったそうです。来年度予算では医師不足に1.8兆円の予算計上とのことですが、実際は関連補助金について573億円の要求に対し半分との評価ということでした。

「後発品のある先発医薬品などの薬価の見直し」 → 見直し

「後発医薬品」というより「ジェネリック医薬品」といったほうが、なじみがあるかもしれません。昨年1月の本稿でもお話しましたが、ジェネリック医薬品とは「新薬の特許期間が過ぎて他社でも製造可能になった医薬品」のこといいます。新薬の開発には莫大な経費がかかりますが、ジェネリック医薬品は開発経費がかかっていない分、安価に患者さんに提供できるのです。今回の仕分けでは、ジェネリック医薬品の製造が出来るくらいの年数になったら、先発医薬品もジェネリック医薬品並みの価格に引き下げるべきとコメントしております。そしてさらに「市販品類似薬を保健適用外に」と考えている仕分け人が15人中11人もおりました。つまり「薬局で買える薬は、病院でもらっても健康保険が利かないことにする」ということです。そのような薬剤で今一番憂慮されているのは「漢方薬」です。どうも医療用漢方製剤が健康保険の適用から除外される ・・・ という案が出ているのです。漢方製剤は本邦の医師の70%以上が処方しており、先発・後発品との価格差も余りありません。また「血の道症」という言葉があるくらい、「漢方薬」と「婦人科」は深いつながりがあります。現在でもなお漢方薬の効能について、西洋医学的に解析がなされていますが、それらの研究も頓挫してしまう恐れもあります。もしこの案が正式に認められると、医師 - 患者双方にとってデメリットが大きいのではないでしょうか?

私は政治というのがよくわかりませんし、前政権を肯定しているわけでもありません。ただ日本という国が借金だらけで大変であるため、今回の「仕分け」のように無駄をそぎ落として財政を健全に立て直すことが必要であるということは理解できます。でも「国」でなければ出来ないプロジェクトもあると思いますし、そこまで切り捨ててしまうと、なにやら暗澹たる思いになってしまいます。「医療と教育に金を費やさない国は必ず滅びる」 ・・・ という言葉を以前聞いたことがあります。日本国そのものの現状が大変で元気がない状態ですが、みんなが元気で子供たちが希望を持てる国に早くなるように願って今年のカプリを締めくくりたいと思います。今年も、ご愛読ありがとうございました。皆様よいお年をお迎えください(2009.12.1)。

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皆さん、こんにちは。

先月下旬には、当地域の八幡平で今年初めての氷点下を記録しました。温暖化〜温暖化といっている割に、寒くなるのはなんだか早いようです。でも長期予報では今シーズンは雪が少ないとか・・・それが本当であれば温暖化の影響と考えられましょうけど、やはり冬が来てみないと、こればかりはわからないものですよね。

さて・・・連日、新型インフルエンザのニュースが放送されない日がありません。冬に向かい、その流行も猛威を振るってきました。先月の26日から妊婦さんにワクチン接種の予約を募っており、今月中旬から接種の予定です。でも接種スケジュールを見ると、ロー・リスクの方々がワクチン接種を受けるのには、もう少し時間がかかりそうです。うがい・手洗いは基本でかつ非常に大切ですので、励行していただくようお願いいたします。

新型インフルエンザや季節型インフルエンザの予防接種については、以前にもこのカプリで紹介しましたが、今シーズンは「新型には新型」、「季節型には季節型」と別個に予防注射をしなくてはいけません。予防注射といえば、子供時代には何回も行ったと思いますが、大人になったら季節性インフルエンザ・ワクチンぐらいで、そう何度も予防接種を行うという機会はありません。そのため外来に見えられる患者さんや妊婦さんも、ワクチン接種について混乱されている方が少なくないようです。そこで今回は、インフルエンザを含めました「予防接種」について、お話します。

予防接種とは感染症といった「はやり病」にかからない、もしくはかかっても軽く済むように行うものです。子供のときに行った「三種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)」など一定の年齢に到達すると行う予防接種は「定期接種」といい、お子さんがかかると重症化しやすいため、その接種には公費補助がなされているものがほとんどです。一方、今回のインフルエンザ・ワクチンのように周囲の流行具合によって行ったり、風疹ワクチンのように将来的に病気にならないよう行ったりする予防接種を「任意接種」と言います。任意接種はあくまでもその個人の希望によって受けるものですので、その費用は全額個人負担になりますし、健康保険もきかないため医療施設により接種費用が異なっています。

以上その接種目的で二分しましたが、ワクチンそのものの種類によっても二分することができます。その1つは「生ワクチン」です。生ワクチンは本来の病原体の力を抑えたもの(弱毒化)を接種して、ワクチンを受けた人に「軽く病気をかからせる」ことで免疫をつくり、本来の病気にならないようにするものです。生ワクチン接種によってできた免疫は病気の予防に確実性が高いのですが、軽くかからせるつもりが本来の病気と同じように発症してしまったりすることもあります。なおしっかりと免疫が出来るまでは約1ケ月の時間が必要です。生ワクチンで予防する病気には、麻疹(はしか)・風疹・水痘(水ぼうそう)などがあります。

そしてもう1つは「不活化ワクチン」というものです。不活化ワクチンは病原体から毒性を取り除いた成分だけを接種するワクチンで、三種混合や日本脳炎、そしてインフルエンザ・ワクチンなどが該当します。生ワクチンのように「病気をかからせて免疫を作る」ワクチンではないので、発症することはありませんが、免疫を作る力が生ワクチンに比較すると弱いので、子供や基礎疾患がある方では、しっかりと免疫を作る目的で数回の接種が必要になることがあります。

先月のカプリでは「妊婦していると生ワクチンはいけない」ということをお話しましたが、その理由は上で述べたように「軽く病気をかからせる」ことにあります。妊娠中の予防接種はあくまでも任意接種なので、あえてリスクを犯して生ワクチンをする必要はありません。軽くかかるつもりが、しっかりかかってしまうと、妊婦さんの場合には重症化して、その影響が赤ちゃんにも及ぶことになりかねません。従いまして、妊娠中は生ワクチンであれば注射も、またポリオのような「飲むワクチン」でも、予防接種はすべて禁忌になります。

大人になって受ける予防接種は任意接種になりますが、仮に複数回受ける予防接種の種類が異なる場合、次の予防接種を受ける場合は、どのくらいの期間をあければいいのでしょう?・・・それにはちゃんと「きまり」があります。

@     最初の予防接種が生ワクチン:次の接種には27日以上あける

A     最初の予防接種が不活化ワクチン:次の接種には6日以上あける

これより、仮に新型インフルエンザの予防接種をした場合、次に季節性インフルエンザの予防接種をするときには6日以上あけてから行うことになりますし、先に季節性を行って次に新型を行う場合も同様の期間をあけることになります。

 なお「これから妊娠を・・・」と考えている方で、生ワクチンの予防接種をされる方は、病気を「軽くかからせる」ことになりますので、「ワクチン接種前は1ヶ月」 ・ 「ワクチン接種後は2ヶ月」の避妊期間が必要になりますので注意してください。

 ワクチンを接種してもインフルエンザにかかることがありますが、接種しないときより病状は軽く済みます。新型インフルエンザのため、今年の季節性インフルエンザのワクチン供給量は例年の8割となっております。何事もそうですが、「備えあれば憂いなし」です。これから寒さも本番を迎えます。万全な対策でこれからの季節をお迎えください(2009.11.1)。

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今年も残り3か月になりました・・・

9月は残暑でまだまだ半袖が必要となる日が多いのですが、今年は残暑も厳しくなく、むしろ肌寒い日が続いています。テレビではスタッドレス・タイヤのCMも始まり、日ごとに秋が深まって、着実に雪の季節に向かっています。皆様お変わりなくお過ごしですか?

こう昼夜の寒暖の差が著しくなると、紅葉も早いかもしれません。先月はシルバー・ウィークという秋の大型連休があり、観光地を訪れたり旅行へ出かけたりした方も少なくないでしょう。これからの時期は紅葉狩りという楽しみもありますね。連休が続いて、話題の「高速道路のETC1,000円」となれば、ついつい遠出もしたくなりますね。

昔は妊娠していると体を動かすのは家事や家業の手伝いだけで、旅行はもちろん遠出なども慎むべきものでした。でも産科管理の進歩や妊婦さん自身の意識改革もあり、新婚旅行以外でも以前は慎まれていた妊娠中の旅行を楽しむ妊婦さんが増えてきています。また旅行とは言えませんが、里帰り分娩を希望していれば、おのずと自宅から実家までの移動をしなくてはいけません。行楽の秋はこれからが本番です。今回はシルバー・ウィークが終わりましたが、妊娠中の旅行についてお話したいと思います。

妊娠経過が順調で余病もなければ、特に旅行に出かけることにドクターストップをかけることはありません。それでもなお旅行中には予期せぬ事態も起こりうるので、できるだけ安全に旅行するためには事前の周到な準備と評価が大切です。

まず旅程についてですが、少なくとも目的地・旅行人数・日数・交通手段などを事前にお教えください。交通手段についてよく質問されるのですが、時間の予測が立つこと、トイレへのアクセスが容易であることを第一に考えてくださいとお話しています。車による移動であれば6時間以上の連続した乗車にならないこと。2時間ごとの休息をとり、その時には10分以上の歩行をお勧めします。そして助手席・後部座席を問わず必ずシートベルトは装着してください。

行程に合わせて訪問先の医療機関の所在地や連絡先を確認しておくことも大切です。海外旅行に行かれる方は、あらかじめ緊急時の対応について旅行会社や添乗員に十分確認してください。妊娠中の飛行機の搭乗に関して、日本航空・全日空とも分娩予定日より29日以降であれば問題ありませんが、予定日の288日以内に搭乗する場合には搭乗に際しての「診断書」と「同意書」を、7日以内の場合は加えて医師の同伴が必要になります。更に日本航空国際線では、予定日が明らかでない場合や多胎妊娠や早産経験がある場合も搭乗に際しての「診断書」と「同意書」が必要となります。他の航空会社や交通会社にも妊婦についての規定があると思いますので、事前に十分確認しておいてください。また海外旅行では予防接種が必要となる場合がありますが、妊娠していますと生ワクチンの接種は禁忌ですので、接種の必要のある地域への渡航はできません。

日程が決まったら、健診以外に来院していただき、内診・超音波検査などの産科的メディカル・チェックとして母体や胎児の状態を確認させていただきます。出発にあたっては妊娠中に施行した血液検査の結果を記載した母子手帳など検査データや診察結果などを携行し、すぐ取り出せる場所に用意しておいてください。

公共交通機関・自家用車に関係なく、妊婦さんにとっては狭い空間で移動することになるので、「エコノミークラス症候群(旅行者血栓症)」の発症に気をつけなければいけません。エコノミークラス症候群とは、長時間下肢を動かさずに座っていると下肢の血液の流れが悪くなり血のかたまり(血栓といいます)が作られて、立ちあがったり歩行し始めたりしたときに、その血栓が肺に飛んで重篤な状態に陥る病態です。妊娠中の血液は妊娠していない時に比べ、血の固まる能力が高いため、妊婦しているというだけでエコノミークラス症候群になる中等度リスク群に入ってしまいます。従いまして移動手段を問わず、長時間の移動になる場合は、あらかじめサポート力に長けている弾性ストッキングを着用したり、座りながらでも時々下肢の運動(足の指の屈伸やふくらはぎのマッサージなど)を行ったりして下さい。また脱水は血栓症の大敵ですので移動中は積極的に水分を摂りましょう。

妊娠中の旅行については、準備や用心をして、しすぎることはありません。それは里帰りで実家に戻るときも同様です。周到な事前準備は貴女と赤ちゃんにとって安全でかつ楽しい旅行にしてくれるでしょう。準備や計画で不安や不明な点があれば、主治医の先生にご相談されてみてください(2009.10.1)。

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 みなさん、こんにちは

今年も3分の2が終わりました。上半期には「地球温暖化」傾向とのことで、どんなに暑い夏になるだろうかと覚悟していましたが、そう暑い日は続かず、振り返るときわめて日照時間の短い夏でありました。ここ鹿角では夜間にもなると15度を下回る日も珍しくありません。皆様のお住まいのところはいかがでしょうか?

さて・・・ニュースや新聞を見ますと、連日新型インフルエンザの話題で持ちきりです。通常の季節性インフルエンザであればこの夏場に流行するというのは考えられないことなのですが、一旦小康化していたこの新型インフルエンザは8月から感染範囲を拡大して猛威を振るっています。先月末から新学期が始まっていますが、県内の学校でも集団感染が生じているのは既にご存知のことでしょう。今後季節の推移とともに気温が下がっていくと、今よりもなお、感染が拡大していくのは十分ご理解いただけると思います。

マスメディアも皆さんの注意を喚起するため、色々な情報を提供していますので、もう既にお分かりかもしれませんが、新型インフルエンザについて「抜書き」してみます。@新型インフルエンザ(H1N1)はA型インフルエンザに属する。A38度以上の高熱を伴う咳 ・ 鼻水などの急性呼吸器症状がでる。Bインフルエンザの診断キットでも陽性となるが検出率は5割位である。C感染力は非常に強いが、(以前から感染拡大が心配されていた鳥インフルエンザよりは)毒性は強くない。D季節性インフルエンザに使われるタミフル・リレンザといった抗インフルエンザ薬の効果が認められている。Eしかしながら、()小児、()妊婦、()糖尿病など持病のある高齢者、(ニ)心機能・腎機能が低下しているもの、()免疫不全があるものがかかると、命にかかわる事態になる。。。という疾患です。

予防対策の「要」は「ワクチン接種」です。新型インフルエンザのワクチン接種を多くの人が受けることによって、感染範囲の拡大を封じ込めることが出来ます。しかし現時点でワクチン接種可能な人数は1,700万人程度で、十分量とはとても言うことが出来ません。さらにその接種開始時期は10月くらいになるだろうともいわれています。この病勢でいくと、感染者は増加の一歩をたどるばかりで、現に身近な問題となっています。現時点で既に感染拡大期に入っているが、ワクチン接種は追いつかない・・・そうであれば「どうすれば新型インフルエンザにかからないか?」ということより、「身近な人に感染者が出たらどうするか?」ということに、考え方をシフトする必要があります。

このカプリをお読みいただく方の多くが女性ですので、自ずと家庭を預かっている立場の方が多いと思います。まず覚えておいて頂きたいのは「家族の誰かが感染したら、全員が感染したものと思って行動する」ということです。一人でも家族内に感染者が出たら、感染した方はもちろん、家族の方も戸外に出るときはマスクをしっかり装着しなければいけません。そして症状が出てもすぐに医療機関を受診なさらないで、発熱相談センターや発熱外来センターに一報を入れ指示を仰いでから行動されてください(鹿角市であれば30-0119です)。

新型インフルエンザと診断されても、重症例でなければ入院とはならず自宅での治療となります。自宅での看病の注意点としては、看病する方への感染に注意することです。そのためには以下の点に気をつけましょう。@看病する方もされる方も、しっかりとマスクを装着しましょう。A室内のウイルス濃度を下げるために換気はこまめに行いましょう。B鼻汁が付着したティッシュなどはビニール袋に入れ、そのつど袋の口を閉めごみ袋の口を開放しておかないようにしましょう。C水分補給は大人であれば一日1.5リッターくらいを目処に・・・スポーツ飲料で摂るのが望ましいです。そして、D解熱しても丸2日は平熱であることを確認してから復帰しましょう。

以前このカプリでお話したように、妊婦さんのインフルエンザは重症化しやすいため、新型インフルエンザにおいても例外ではなく妊婦さんはハイリスク・グループに属しています。妊婦さんは「半自己(自分)半非自己(夫)」の赤ちゃんが胎内にあるため、妊娠していない時に比べどうしても免疫力が低下してしまいます。この低下のため赤ちゃんは胎内で健やかに育つことが出来るのですが、一方で母体の感染症にかかるリスク、またその症状が重くなるリスクを引き上げてしまいます。新型インフルエンザの感染が確認されればもちろん、感染している人と濃厚に妊婦さんが接触した場合には、前述した抗インフルエンザ薬の予防的投与が必要になる場合があります。いずれにしても速やかな対応が必要になるのですが、かかりつけの産婦人科には貴女の他にも多くの妊婦さんが外来にいらっしゃいます。一般の方と同様に妊婦さんであってもいきなりかかりつけの産婦人科を受診するということは避け、まずは電話で一報を入れて、主治医の先生の指示に従って行動してください・・・ワクチン接種が足踏み状態の今、一人ひとりの「心がけ」が感染拡大を押さえ込む第一歩となるからです(2009.9.1)。

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・・・7月も終わり、早いもので8月になりました。

ここ東北北部は、まとまった雨も降ることはなく、昨年同様に今の時点でもまだ梅雨明けはしていません。でも山口〜九州にかけては記録的な大雨になり、群馬では本邦ではあまり見ないほどの竜巻による被害がありました。異常気象の一言ではすまない惨事が続いており、当該地域にお住まいの方には、お見舞い申し上げます。

さて新年度が始まり数ヶ月が経ちますと、たいていどこの市町村でも種々の検診が始まります。クリニックのある鹿角市も6月から婦人科検診が始まっていますが、当地域の婦人科検診は5年前から「施設検診方式」といって受診者の皆さんが婦人科検診施設に出向いて検診を受けるというスタイルをとっています。従来はそれぞれの地区に検診バスが出向いて行う「検診車方式」であったのですが、検診医の不足により受診者の皆様に医療施設へおいでいただいている現状です。こういう検診事業にも医師不足は響いており、当クリニックで検診を受けられる受診者の皆様にはご足労を、また診察に来られている患者さんには待ち時間が長くなりご面倒をおかけしておりますことをお詫びいたします。

この婦人科検診に関連しまして、本年度は先の補正予算によって「乳がん・子宮頚がん検診 無料クーポン」が発券されることになりました。ただし検診対象者には制約が設けられており、今年のクーポンによる対象者は、子宮頚がんでは昨年度2025303540歳になった方、また乳がんでは昨年度4045505560歳になった方です(40歳の方は、子宮頚がん・乳がん検診の両方になります)。該当になる方には子宮頚がん・乳がん検診のクーポン券が検診手帳とともに配布される予定になっています(ちなみにクーポン券の有効期限は発行日から6ヶ月となっているようです)。

これら「女性特有のがん」検診について、従来の検診申し込みシステムが「個人の手上げ方式」であるのに比べ、さらに踏み込んだ「無料クーポン券の配布」という方式を取った理由の一つとして、その受診率の低さにあります。米国 - 英国 - 日本の順で検診受診率をみてみますと、乳がんでは72.5% - 70.7% - 20.3%、また子宮頚癌では83.5% - 79.4.% - 21.3%と際立って本邦での受診率が低いことが示されております。特に20代での子宮頚がん検診率は、全体の受診率のおよそ半分である11%という極めて低い状態なのです。検診受診率の低迷はここ鹿角市も例外ではありません。先にお話しましたように当地域では既に婦人科検診が始まっておりますが、今回無料クーポン券の該当年齢になっている方の婦人科検診予約状況はどうだったかといいますと・・・

20

25

30

35

40

対象者

108

125

166

161

177

737

受診予定者

0

0

6

11

18

35

・・・ ご覧のように該当年齢全体の受診予定率は5%ほどで、20代の受診予定者はいないという、非常に「お寒い」状況といえます。

このような状況を少しでも改善し、がん検診受診率を目標の50%に上げるべく行われた施策の一つが、この「無料クーポン券」なのです。子宮頚がんでいいますと、過去20年の統計から2030歳代に急増しているのが認められています。その一方で、当地域を含め全国的に若年者の婦人科検診受診率が低迷し続けているのが、私達産婦人科医を悩ます問題でした。この無料クーポン券が検診未受診者の掘り起こしに働き、全体の受診率の向上に寄与することを願ってやみません。

日本は世界一の長寿国ですから、身体が年を取ると、それを構成する細胞にも発がんというトラブルがおきやすいのは容易に想像できることと思います。事実、いま日本では「2人に1人が、がんになり、3人に1人が、がんで死ぬ」という「がん大国」なのです。しかしがんは早期に発見されれば、決して恐ろしい病気ではなく、子宮頚がんでいいますと、初期の「上皮内がん」の5年生存率は100%です。一方、若い方のがんは進行が早いことが多く、歌手の川村カオリさんが乳がんのため38歳という若さで急逝されたのは記憶に新しいことだと思います。忙しいから・・・恥ずかしいから・・・ということで誤魔化さず、貴女の健康のため勇気を持って検診を受けてください(今回のカプリはクーポン券と一緒に送られる検診手帳を参考にいたしました)(2009.8.1)。

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みなさん、こんにちは。

まだ梅雨はあけていないのですが、まとまった雨は降らないし、気温も高い日が続いています。自室からは田んぼが広く見渡すことが出来ますので、農家でないとはいえ、こう雨が少ないと心配になってしまいます・・・やはり降るものが降らないと気になりますね。

湿度や気温が高かったりすると、「あせも」などの湿疹が出やすくなりますね。妊婦さんにおかれましては、お腹を「腹帯」などの妊婦帯に当てていますから、この時期はどうしても湿疹など出てしまいます。普段何気なくあてている「腹帯」ですが、今回はその腹帯についてお話したいと思います。

妊娠中に腹帯を巻くというのは、私を知っている限り欧州のごくごく一部の地域に似たようなものがあるだけで、これほど装着が習慣づいている国は日本以外にはないと言われています。腹帯の歴史は古く、今からおよそ1,800年前の神話の世界にまでさかのぼります。十四代天皇で仲哀天皇の妃である神功皇后にまつわるエピソードが、どうも腹帯の始まりかと思われます。神功皇后は後の十五代天皇となる応神天皇を身ごもっておられたのにも関わらず身重の身体で朝鮮へ戦争に出向き、戦争から戻られた後には無事安産されたという伝説があります。そしてその妊娠中に帯の中へ石をまきつけたことが、腹帯のルーツになっているようです(ちなみに皇后に仕えていた女官がこの帯を自身の結婚のときに頭に巻いたそうですが、これが現在の「角隠し」のルーツにもなっているそうです・・・)。

後に神功皇后は「安産の神様」と奉られましたが、実際に腹帯が普及し始めたのは平安時代からで、江戸時代には庶民にも行き渡ったとのことです。妊娠五ヶ月の「戌(いぬ)の日」に腹帯をすると安産にあやかれるということから、現在でも腹帯のし始めはこのときを狙って(?)することになります。「戌」というのは十二支の干支である「戌年」の「戌」です。「戌の日」に行うのは、多産で安産(かどうか本当のところ私は知りませんが・・・)である「いぬ」にあやかることと、一方で戌は昔から悪霊や狐狸から子供を守るという言い伝えがあるからだそうです。

一般に腹帯を巻くときには一反(約10m)のさらしを半分に切って、それをおなかまわりに巻くことになります。一反の半分ですから長さは約5mになりますが、秋田県内では「八尺(約2.4m)の腹帯は縁起が悪い」と忌み嫌われる風習があります。これは八尺の長さというのは棺桶を覆う白布の長さと同じことからきています。また県内には「夫の褌(ふんどし)を腹帯にすると、安産にあやかれる」といった言い伝えもあります。これを聞くと複雑な気持ちになりますが、皆様はどう思われますか?

医学が未発達だった昔、お産は今よりもなお「命がけ」でした。「小さく生んで、大きく育てる」というわけではないですけど、華奢な日本人が大きめの赤ちゃんを産むことは母体にとって命取りになりかねないほどの負担であったしょうし、逆子のお産は赤ちゃんにとって非常なストレスになったことでしょう。腹帯を使って腹部を外部から強く圧迫することは、赤ちゃんの発育をある程度留まらせたり、おなかの中での位置を固定したりすることを期待していたのかもしれません。しかし江戸時代においても、それらの考えに否定的な意見は存在しておりました。

医学の発達した現代においては、腹帯の意義は腹部の保温効果や母性意識の向上程度しかないかもしれません。しかしながら現在は「さらし」以外の材質も多々ありますし、マジックテープ式で着脱が容易な妊婦帯や下部から支えるガードル式の妊婦帯もあります。また自動化・IT化全盛の現代では、電磁波のシールドを含んだ腹帯も市販されております。医学的な効用は薄いとはいえ、材質を見極め装着を適切にすることにより、妊娠中崩れがちになる姿勢の矯正や無駄な電磁波の暴露から身を守ることができます。古くからの風習を全面的に否定せず、自分なりに都合のいいように(?)解釈することにより、快適なマタニティー=ライフを過ごすことができれば、それに越したことはないと考えます(2009.7.1)。

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6月・・・水無月です

5月末から日中は暑くなることもあるのですが、夜ともなると平気で10℃くらいになってしまいます。秋田市との往復をしていると、秋田市〜能代市〜鹿角市と約1週間の差を持って「田植え」が行われていました。そう広くはない秋田県ですが、それでも数十キロの差で景色は変わってきています。皆様がお住まいのところではいかがでしょうか?

さてトップページにもありますように、今月から当院では電子カルテが本稼動することになりました。まだまだ操作は不慣れゆえ、御来院いただく患者さんには長らくお待ちいただくなどご迷惑をおかけしますが、ご容赦の程、お願い申し上げます。

当院も今月末で開院から丸5年となります。5年ともなると、いろいろ〜特に“紙もの”〜がたまり始めて収納をどうしよう?といった問題も出てきましたため、ここは一念発起し、電子カルテの導入を決意しました。場所の問題に加えまして、さらに導入へと背中を押すことになったのは、「レセプトのオンライン化」という問題です。今日はそのことについて、若干話してみたいと思います。

皆様がクリニック受診しますと、まず受付に保険証を提出し、そして診察後に会計で治療にかかった医療費を支払います。でも皆さんが会計で実際お財布を開けて支払うのは、診療にかかった総額の3割(高齢者の方は1割のこともあり)です。あとの7割は皆さんが加入している保険証を統括している支払基金に請求を出して、基金は皆様から集めた健康保険料から差額の7割の支払を行っています。この医療機関から支払基金に送る請求書が「レセプト(診療報酬明細)」なのです(ちなみに、私達医療機関が基金に対して請求を行っているのは、本来受診された皆様が支払基金に残りの7割を請求することの「代行業務」と考えられております)

通常の商業活動と同様に、ほとんどの医療機関は支払基金への請求を紙媒体のレセプトで行っております。紙レセプトの作成は診療報酬を計算しプリント・アウトする専用のコンピューター(レセプト・コンピューター = レセ・コンといっています)で行っていたり、手書きで行っていたりしています。それが5年ほど前からレセプト電算化が行われフロッピーやMOなどの電子媒体による提出が可能になりましたが、紙で提出するか電子媒体で提出するかは医療機関の任意でした。しかし来年度からは、ほとんどの医療機関がインターネットなどの通信回線を介して電算化したレセプト情報を送信する「レセプト・オンライン請求」が「義務化」されます・・・平成18年に決まったこととはいえ、「任意」ではなく、いきなり「義務化」です。国もいきなりの「義務化」ということに「引け目」もあったのでしょうか、それとも電子化拡充への「大盤振る舞い」なのでしょうか?医療機関において一定の条件を満たせば「電子化加算」というコストを頂いてよろしいと認めてくれました。しかしながらそのコストはあくまでも初診の患者さんからしか頂くことはできず、さらにその金額は30円なのです・・・この金額を皆様はどう思われますか?ちなみに当院の実績では1年でノートPCが購入できるかどうかの加算総額でした・・・

施設による違いはありますが1カ月あたりの紙レセプトの枚数は数百〜千枚に及ぶので、紙媒体の廃止は、今流行の「eco」にはとてもいいことでしょう。しかしながらオンラインで送信するということは診療情報の漏洩がもっとも気になるところですし、送信したデータが報酬請求以外の用途・・・たとえば全国的な統計を取って病気ごとの診療単価が一律となり、それ以上コストがかかった場合は保険が利かなくて患者さんの自己負担にしてしまう・・・といった不安も拭い去れません。実際問題として日本の社会保障費はキュウキュウですからね・・・

これらいろいろな問題や課題を引きずり?ながら、来年度にはレセプト・オンライン化が始まります。IT化全盛の現代、あらゆる職種において電子化やオンライン化は避けて通ることの出来ない状況です。当院も何とか流れに乗って準備を行ってはおりますが、何かしら後ろ髪を引かれる思いをなかなか払拭できません。時流だから仕方ないのか?時流の一言で済ませていいのか?・・・これらに思いを馳せデバイスに向き合っていきたいと思っています(2009.6.1)。

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みなさん、こんにちは。

今年は2月が暖かくてアスファルトが見えるくらいの融雪を見ましたが、一転ゴールデンウィークの「しょっぱな」に降雪を見るくらいの寒い4月になりました。そのせいか当院の横にある公園の桜も寒さにおびえながら花弁を広げているように見えてしまいます。皆様はどんなゴールデンウィークを迎えられているでしょうか?

ここ数回のカプリチョーザは「妊婦さんと×××」シリーズ(?)になっていますが、今回は「くすり」と並んで日常外来でよく質問にあげられる「妊婦さんと食べ物」についてお話してみたいと思います。妊婦さんでなくとも、偏りなくいろいろな食材を適当な味付けで程よい量を食するのが「食」を考える上で大切なことで、何事も「過ぎる」のはよろしくありません。特に妊婦さんの場合、過度の体重増加をもたらす「食べ過ぎ」もいけませんが、一定の食材に偏り過ぎるのにも問題があります。「妊娠中に食べてはいけないものには、何がありますか?」と特に初期の妊婦さんに質問されることがしばしばあります。このような質問に対して、かかりつけの主治医である私としては下記の食材をあげています。

1)なるべく食べてほしくないもの : 「ヤツメウナギ」

 繰り返しますが、「ヤツメウナギ」です。「ヤツメウナギ」は「うなぎ」ではありません(種がまったく違います)。古来よりヤツメウナギは「目の健康によい」と言われている食材です。その理由の一つにビタミンAの豊富さがあり、事実ビタミンAには細胞分裂を盛んにさせる作用があります。一方妊娠というは、目に見えるか見えないかぐらいの受精卵が10ヶ月で3キロほどの大きさになるという、人間の生理現象において最大ともいえる組織増大現象です。そのような状況でビタミンAを過剰に摂取すると、細胞分裂にさらに「アクセルをかけて」しまい、赤ちゃんの神経系に影響を及ぼすといわれています。妊婦さんのビタミンA摂取量は1日あたり5,000単位以内に抑えましょうといわれていますが、ヤツメウナギ100gに含まれるビタミンAの量は150,000単位にもなります。決してポピュラーな食材ではないのですが滋味溢れる食材ですので、県内では「やつめ鍋」として食する地域もありますから妊娠中の摂取については注意が必要と考えます。

2)たくさん食べてほしくないもの(その1):マグロなどの大型魚

 マグロと聞いて、ビックリした方も多いと思います。@食物連鎖の上位にあるマグロなどの大型魚、Aキンメダイのような深海魚、B一部のハクジラなどには、比較的多くのメチル水銀が含まれていることが判明しました。妊婦さんがこれらの食材を摂るのは、赤ちゃんの神経系への影響を考えると避けていただきたいのです。では、どのくらいの量であればいいのでしょう?よく見かける食材にのみ注目しますと・・・

@     1週間当たり80gまで: キンメダイ・メカジキ・クロマグロ・メバチマグロ・ツチクジラ・マッコウクジラ

A     1週間当たり160gまで: キダイ・マカジキ・ミナミマグロ・ヨシキリザメ

です。ちなみに、お寿司の「ネタ」であれば1貫15g、刺身一人前や切り身一切れが80g程度といえます。またマグロの中でもキハダ・ビンナガ・メジマグロとツナ缶は上記の制限がなく食べることができますし、あくまでも妊婦さんが対象で、母乳をあげている授乳婦さんは対象になりませんから、生まれてしまった赤ちゃんは大丈夫ということになります。そしてもし1週間あたりの規定量を食べ過ぎた場合でも、翌週の分を減らすことにより調整することが可能です。メチル水銀の赤ちゃんへの影響は、例えば音を聞いた場合の反応が1/1,000秒以下のレベルで遅れるようになるようなもので、あるとしても将来の社会生活に支障があるような重いものではありません。従いましてあまりナーバスにならず、これらの食材を偏って摂取しないようにするという心がけ程度で十分だと思います。

2)たくさん食べてほしくないもの(その2):はんぺん・ちくわなどの「練り物」

 これもまた「おやっ」と思われた方がいらっしゃると思います。練り物のねばりを出すほか、保存料として「(ポリ)リン酸」が含まれているのを見かけます。このリン酸を多く摂取しすぎますと、せっかく摂取したカルシウムとのバランスが崩れる恐れがあります。妊娠中は特にカルシウムの摂取が大切な時期でもありますから、せっかく摂ったカルシウムが十分赤ちゃんにいきわたるよう食べすぎには気をつけていただきたいものです。

 今まで述べてきました食材は偶然かもしれませんが、すべて魚介類に属していますため、妊娠中の魚介類の摂取に気持ちとして「引いてしまう」かもしれません。でも魚介類には、生活習慣病の予防や脳の発育等に効果があるEPADHAといった高度不飽和脂肪酸が多く含まれており、魚介類の摂取は健康に有益であることは言うまでもありません。皆様には以上の注意点を理解していただき、偏った食材の摂取を避けて「魚食」のメリットを活かしてください。2009.5.1


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平成21年度になりました・・・

 ニュースを見ると南のほう?(漠然過ぎますね)では、例年より早い桜の便りが訪れているようです。でも当地は昨年と異なり、3月末になっても吹雪に見舞われるような寒い日が続いています。その雪も昼までには日差しの暖かさにすべてが融けてしまうのですが、花見の時期にはまだまだ・・・といった感じです。皆様のお住まいのところでは、どのような春を迎えられていますでしょうか?

 さて先月は「妊娠とレントゲン」について、お話しました。妊娠中のレントゲン(X線)検査は日常外来でもよく尋ねられる事項ではありますが、それと同じくらい、もしかしたらそれ以上妊婦さんより尋ねられることが多い事項があります。それは「妊娠と薬」に関することです。

 妊婦さんにまつわる薬のお話は、次の2つに集約することが出来ます。

@     妊婦さんにどのように処方するか?

A     薬を服用しているときは妊娠に気付いていなかったが、薬を飲んだあと、もしくは飲んでいる最中に妊娠がわかったらどうするか?   です。

@           については、妊婦さんやお腹のなかの赤ちゃんにリスクを負わせるような薬剤を投与しないのは当然です。しかしあまりにも妊娠そのものに意識するあまり、本来の投与量を下回って処方することは、効き目を弱くさせてかえって服用期間を長引かせかねません。妊婦さんにとって必要な薬の量を必要な期間投与するよう私達は心がけています。

A         については、まず服用した薬自体の評価を行います。アメリカのFDAという機関では、妊婦さんが服用する薬剤の安全度をABCDX5段階で評価しXに向かうに従って、その安全度が低くなっていきます。世の中には数え切れないほどの薬剤が出回っていますが、カテゴリーXに入るのは放射性ヨード剤や生ワクチンなどの6種類ほどしかありません。また薬剤の自体の評価に加えて、服薬した時期も考慮して薬剤の安全度を判定する指標もあります。

以上のほか、もともと持病があって飲み続けている薬を服用しているうちに妊娠が成立してしまったということにも遭遇いたします。妊娠したことがわかったとたん、持病の薬の服用を主治医に相談せず自己判断で中止してしまった方・・・その判断はいただけません!

なぜなら自己判断で薬を中止してしまって持病が悪化するほうが、服用をつづけることで薬が及ぼす影響よりも、妊婦さんやお腹のなかの赤ちゃんに与えるリスクがはるかに高いからです。たとえば喘息が持病の妊婦さんが喘息の薬を勝手にやめてしまうと、喘息発作がひどくなって赤ちゃんが酸欠状態になりかねません。また同様に「てんかん」が持病にある妊婦さんが薬の影響を恐れるあまり、勝手に服用をやめてしまって「てんかん発作」を起こして赤ちゃんが酸欠状態になるほうが、薬を飲み続けることよりも重大な影響〜こと赤ちゃんに〜を与えかねないのです。

現在の産科は「母体の健康があって、はじめて健やかな妊娠生活を過ごすことができる」というスタンスです。従いまして、妊娠中、主治医の先生が処方する薬は、貴女と貴女の赤ちゃんの健康を考えてお出しする薬でありますから安心してお飲みいただきたいですし、自己判断での服薬の中止や休薬はくれぐれも慎んでいただきたいのです。

「薬」というと構えてしまいますが、日ごろ私達がおかれている環境は、様々な化学物質に取り囲まれています。「衣食住」の観点から見ても、「衣」では化学繊維や洗剤・柔軟剤、「食」では保存料や着色料などの化学物質、「住」では壁紙の接着剤や断熱材など、人工的な化学物質を数えれば枚挙にいとまがありません。そのような環境におりますから、こと「薬」だけを悪者扱いにするのは少々無理があるかもしれません。でも現在飲んでいるお薬や、飲んでしまったお薬について気にかかる・心配なことがありましたら、悶々と悩んでいるより産科の主治医の先生をはじめ、処方された主治医の先生や薬剤師さんにご相談されることをお勧めいたします。(2009.4.1


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3月に入り、今年度もラストスパートに入りました。 3月は卒業・転勤など別れの時期ですが、新年度の新たなスタートに備える時期でもありますね。別れの淋しさや新生活への不安もありますけど、期待や希望に胸ふくらむ時期でもあります。皆様にとってはどんな3月になりますでしょうか?

 新生活への準備・・・というわけではありませんが、年度替りのこの時期は健康診断を受ける機会が多い時期でもあります。日頃健康であることが当たり前と過ごしていても、いざ検査となれば多少の緊張もあるでしょうし、思いがけない病気が見つかることもあるでしょう。また「異常なし」の結果に安心して、少し「油断」してしまうこともあるかもしれません。

 経験されてお分かりだと思いますが、一般的な健診では血液や尿といった「生体材料」を採取して検査するという、身体にとっては「差し引いた」行為が主になっています。一方身体に「加える」検査行為として最も周知されているのは、身体にX線をあてる放射線(レントゲン)検査であることは皆様も十分お分かりのところだと思います。

 わが国は唯一の被爆国であるということも一因なのでしょうか、妊娠時のレントゲン検査については、妊婦さんサイドをはじめ医療関係者であってもどうもナーバスになってしまうことが多々あるみたいです。当院の外来でも「妊娠がわかる前に職場の健診で胸のレントゲン写真を撮りましたが大丈夫ですか?」とか「歯の治療を受けるのですがパノラマ写真は大丈夫ですか?」、また「上の子のレントゲン写真を撮る時に介助のため一緒にレントゲンを浴びてしまったけど大丈夫ですか?」といった質問をよく受けます。そこで今回は「妊娠と放射線検査」についてお話します。

 以前の本稿でも紹介しましたが、ここ鹿角には温泉がいたるところで湧出しており、八幡平の全国各地から湯治に訪れる温泉場もあります。その温泉の泉質は酸性度が強いのに加え、放射能の一つであるラジウムも放出されています。このことからもお分かりのように、放射線というのは必ずしも病院施設でのみ産生されるわけではなく、私達が日頃生活している環境にも普通に生成・産出されているものなのです。このような自然放射線源のうち宇宙線から一日に受ける線量は、胸のレントゲンで浴びる放射線の約10倍といわれています。私達は気付かないまま自然界にある放射線を浴びながら日々生活しており、そのなかで妊婦さんは健やかな妊娠経過をおくり元気な赤ちゃんを産んでいらっしゃるということを、今一度改めて認識していただきたいのです。

 毎日目に見えない放射線を浴びながら生活しているといっても、レントゲン検査では確かに「自然放射線プラスα」の放射線を浴びることになるわけです。それでは診療放射線と妊娠との関係は、どうなっているのでしょう?1999年に出されたICRP(国際放射線防護委員会)は「妊娠のどの時期にあっても、100Gy(ミリグレイ)未満の胎児線量は妊娠中絶の理由と考えるべきではない」と勧告しております。わが国ではこの勧告に従いつつ、「妊娠10週までの胎児被爆としては50mGyまではまず「安全」である」というさらに厳しいガイドラインを設定しています。ではこの「100mGy」とは、どれほどの「量」なのでしょうか?    

 「Gy(グレイ)」というのは放射線の吸収線量の単位であり、赤ちゃんが浴びるX線の平均線量としては、胸や頭のレントゲン写真では0.01mGy以下、胃のバリウム検査で1.1mGy、また一番線量が多いと考えられる骨盤部のCT検査で25mGyと報告されています。以上抜書きしましたデータからお分かりのように、「通常の検査・診断レベルでの放射線被爆は胎児には全く問題にならない」といえますし、さらに「胎児が診療上でレントゲンを浴びても、それが妊娠中絶する正当な理由にはならない」ということがお分かりいただけると思います(ちなみに癌の放射線療法では通常30Gy65Gyの線量がかけられます)。

 おなかのなかの赤ちゃんの放射線被爆の影響については、検査した時期や部位の確認が大切なのはいうまでもありません。しかしあらゆる時期において、妊娠中の放射線検査を恐れる必要はありませんし、放射線検査を回避するデメリットよりも検査をすることでより多くの情報が得られるメリットのほうが断然優位であると考えます。最近では「ヘリカルCT検査」という、従来のCT検査よりも多い放射線量の検査も行われることがありますので、自分が受けた放射線検査について不明や不安な点がございましたら、主治医の先生〜産婦人科の先生や検査担当の先生〜に、ご相談されてください(2009.3.1)。

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みなさん、こんにちは。

 温暖化のせいなのでしょうか? 例年より暖かい日差しが差し込む日が多いような気がします。でも時折「ドカ雪」がやってきますので、気温が緩んで一時的にアスファルトが見えても、あっという間に駐車場には「雪の山」ができてしまって、呆然とその前に立ちすくんでします・・・ 皆様のところではいかがでしょうか?

 さて・・・ 「お隣の国」でのお話ですが、10日ほど前にオバマ氏が新大統領に就任しました。選挙期間中、「Change(変革)」と「Yes, we can.(私たちはできる)」の2つのフレーズが多用されていたのは、皆様の記憶に新しいところだと思います。現実はどこもかしこも厳しい状況とは思いますが、短いながらもこの2つのフレーズにアメリカ国民ではなくとも、非常に勇気付けられるものです。

 私達の産婦人科に関連することで、「Change」したいものに「少子化」があります。秋田県の出生率はここ10年以上全国最下位のままです。ここで出生率とは「人口に対する出生数の割合」であり、一人の女性が一生の間に生む子供の数を示す指標を「合計特殊出生率」といいます。秋田県は全国でトップクラスの少子高齢化の進んでいる県ですので、出生率が低いのはうなずけると思いますが、合計特殊出生率は出生率ほど悪くありません。特に下に示しましたグラフにあるように、本県で妊婦健診補助券が一気に4回分増発された平成15年以降は、次第に全国レベルの率に戻ってきました(右下のグラフの合計特殊出生率の推移のうち、緑は全国、赤は秋田県のデータです)。

 

以前にも秋田県における妊婦健診補助事業のお話を本稿で行いました(2007.6月)が、少子化対策とうものは妊婦健診の補助だけですべて解決できるわけではありません。しかしながら県内の調査から健診補助券が増発されることは次回の妊娠を考える上で有効な対策の一つだということが左下のグラフから理解できますし、今回のお産で2回以上お生みになった経産婦さんにも、次回妊娠を考える上で高い評価を頂いています。

従いまして、秋田県の少子化をいくらかでも改善の方向に持っていくには、「経産婦さんに一人、さらにもう一人と生んでいただく」ことが肝要だと考えられました。

でもここで問題があります。

それは未来の経産婦になろうという初産婦さんに「健診補助券が秋田県では多いのですよっ!」という事実が行き渡っていないということです。本県では平均14回の妊婦健診に対し9回の補助券による支援がなされていますが、九州のある都市では今もなお補助券による支援が2回しかないところがあります。グラフでは年を追う毎に30代初産婦さんで右肩上がりに健診補助券が多いという事実を知っている割合が増えてきていますが、20代初産婦さんでは足踏み状態です。本県の少子化をいくらかでも改善するためには、初産婦さんへの情報提供をより積極的に行っていく必要があると痛感いたしました。

 昨年末から話題に上っている「定額給付金」・・・この予算法案とリンクして「妊婦健診の全額補助化」があります。補助券が増発されても、更なる補助は望まれておりましたので、法案が通りますと秋田県はもちろん、すべての妊婦さんにとって福音となるでしょう。その結果本県をはじめ日本全体の少子化に歯止めがかかり、現在の状況が少しでも「Change」されることが願われます(今回のカプリは1.18に催された第148回日本産科婦人科学会秋田地方部会でお話した解説講演の原稿より抜粋いたしました)(2009.2.1)。


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新年を向かえました。 みなさん、あけましておめでとうございます。

平成の御世になり、早いもので21年を迎えました。私がこの職につき出産に立ち会った赤ちゃんたちも成人を迎えようとしています。自分自身はそう変わらないように思えても、立ち会った赤かちゃんのほうに視点を移すと、時間の流れというのは瞬く間に過ぎてしまうものだとつくづく感じてしまいます。

子供の頃、お正月の楽しみというと「お年玉」でした。でもこれもまた「お年玉をもらう方」から、いつしか「お年玉をあげる方」になってしまいました。いまでこそ、いろいろなお年玉袋がありますが、私の子供のころは白地に水引の印刷が入ったものだけでした。シンプルな袋ではありますが、子供心にときめくものがありました。

水引は贈答品や封筒に付けられる「飾り紐」で、隋から帰国した小野妹子の下賜品に結ばれていた紅白の紐が起源とも言われていますので、その歴史は1400年以上といえましょう。慶事では紅白のほか、金銀・双銀の紐が用いられ、その結び方には結び紐の両端が上方に向く「あわじ結び」、下方に向く「超結び」があるそうです。

水引は2本の紐から慶弔を表わしますが、近頃は1本のリボンでいろいろなキャンペーンを提起することが多くなりました。輪状に折った短い一片のリボンが、キャンペーンのシンボルとなっているものを「アウェアネス・リボン Awareness ribbon」というそうです。重要な社会問題である拉致問題に対して共感・支援されている方々が青色のアウェアネス・リボンを着用しているのはマス・メディアを介して皆様方も目にされたことがあるのではないかと思います。

疾患に対する啓蒙を計ったり、その疾患に悩まされている患者さんを支援したりする際に、スタッフが着用したり、また広くその活動を知ってもらうためのシンボルとして、医療でも「アウェアネス・リボン」が使われております。産婦人科関係に関連するアウェアネス・リボンとしては以下のものがあります。

1.       赤いリボン:AIDSに対する闘い(アクト・アゲインスト・AIDSキャンペーン

 レッドリボンはもともと病気などで生涯を全うできなかった人々に対する哀悼の意を表わすヨーロッパの風習でした。それが80年代後半からAIDSで倒れる人々への理解や支援の意思を表わすシンボルとしてアメリカから発信され、今や国際合同AIDS計画のシンボルとして採用されています。日本では現在1日に4人以上がHIVに感染しているといわれております。昨年のレッドリボンキャンペーンは12.26で終わりましたが、今一度レッドリボンの意味を確認しAIDSについて考えていただければと思います。

2.       ピンクのリボン:乳がんの啓蒙

 レッドリボンと時期を同じくして、ピンクリボンも80年代から市民運動のシンボルとしてアメリカから発信されました。生活習慣の欧米化や少子高齢化により、日本人女性の20人に1人は乳がんになるといわれています。乳がんは体表に出来るがんですので、セルフチェックとても重要です。自分の体のわずかな変化に気付けるよう、入浴時、乳房だけは自らの手で手洗いする習慣をもつのはいかがでしょう。

3.       黄色いリボン:子宮内膜症の啓蒙

 イエローリボンはもともと障がいのある人々の社会参加を推進するためのシンボルですが、子宮内膜症という病気をもっと知ろう・広めようという意味をこめてシンボルとして採用されています。

以上のほか婦人科に関連するアウェアネス・リボンとしては、子宮頚がんをはじめとした婦人科がん、および多嚢胞卵巣症候群の啓蒙のシンボルとしてのティール(深緑色)リボンがあります。

これら以外にも十色以上の疾患と関連したアウェアネス・リボンがあり、それぞれの啓蒙・普及のシンボルになっております。冬といえば純白のイメージですが、色とりどりのリボンと疾患との関わりを深めることができるのも、この長期休みでならこそかもしれません。

(今回のカプリは「MELIT 〜患者のための医療情報リテラシー〜」のHPhttp://melit.jp/voices/fight/cat140/cat158/)を参考にさせていただきました) 。(2009.1.1


院長のcapricciosa(気まぐれ)